コロナウイルス

2020年の一月初旬から「武漢かぜ」がじわじわと広がっている。この間「中国は危機管理が甘い」などと言う声があったが、香港事件の後、都市の閉鎖や移動の禁止措置を取るまで、普通の時期より時間がかかったのだと思える。忍び寄る不況と世界中のからの「人権監視」は、中国にとって有り難くないらしい。共産党独裁国ではかなり乱暴なこともできるが、内部からの暴動や革命が一番怖い。中国の情報遮断や人間の往来の遮断は「戒厳令」に見える。春節を延長して、その後どうするのか。

日本の対処は甘いが、この甘さが日本の良いところだと思う。権力で「入国拒否」とか「隔離」をしたくてもできない。その前に保菌者は十分以上に日本に入り込んだ。安倍総理は「買い物客の足を止めることはできない」と言った。いくら甘い日本でも考えられない発言だ。

コロナウイルスと領海侵犯を重ねて考えたい向きもあるようだが、いくら中国でもそこまではしないと思う。これも甘いのかな。

進撃の巨人

このアニメを取り上げるのは三度目になる(ここ以外も含めて)と思う。「いい年をしてアニメに夢中かよ」と自分を自分で嘲る部分もあるが、面白いと言うより考えさせられる「物語」だ。これを期に本の全冊を揃えようかと思っている。何か考えさせられるというか若者以外も、是非空白でない歴史を知っている60代70代の方々に、或いは日本が大東亜戦争を行っている時を知る方々にも目を通して貰いたいと思う。何がかみ合わないかを語るには私は若すぎる。
 
作品は連載、単行本、映画、ゲームそしてアニメがあり、当然連載が一番進んでいる。私は映画とアニメを見たが、「アニメ」が一番わかりやすい。30代の人とこの作品の話をすると話が合う。でも大部分の人には単なるアニメ以外ではないらしい。私にとってはエヴァンゲリオン攻殻機動隊に次いで興味深い作品だ。もしかしたら日本のアニメの一つの代表作なのかも知れない。宮崎駿作品がテーマをはっきりとした娯楽作品なら、この作品には(面白い)という評価とともに(これを輸出していいのか、外国に誤解を与えないか)という不安もある。色々な国で受け入れられている貴重な輸出文化であるために余計に気になる。
 
(本当のテーマは何だろう)と絶えず考えさせられる。作品中に出てくる「人類を守る、そのために心臓を捧げよ」という過激な言葉に驚く。「日本の将来」とも取れるし、過去の無国籍な「専制国家」という国にも置き換えられる。「侵略・蹂躙される側の恐怖」、それに対する複雑に絡み合った「復讐」というのもある。ともかく訳の分からぬ恐怖と国籍不明の設定は「童話」の世界と似ているが、描くところは至って現実的だ。
 
最終的には思想が右に偏って、「自分の国のためには心臓を捧げよ」とか「巨人が人類を食べるのだから、無慈悲に殺していい」とか、危険な思想も垣間見える。人間の命が大切にされない。兵士が消耗品として扱われる。兵士も納得してそれを知っている。「カミカゼ」の世界だ。古い日本の歴史を知らない子供達が夢中になるには(ちょっとなあ)と感じる部分が沢山ある。そんな危ない部分を考慮しても、「人間って何だ」という根源的な問いに対する足掻きは残る。
 
民族間の争いも時折混じり、「選民思想」の破片もちらりと見える。大雑把にいうとそんなアニメだ。白紙の心に直に埋め込むには危険だなとも思う。反対にこれからの子供達はこの位「心を慣らしておく必要もある」のかなと心は揺れる。何処に分類されるか意見が分かれると思うが、「アニメ」というより「SF」の分野に分類されるだろう。人間を巨大化して一種の兵器として使う。その兵器を打ち破る人海戦の連続。裏には国民に隠されたお互いの侵略戦争の歴史がある。過去の侵略者が侵略されるところから話は始まる。
 
また、巨人の出現は黒船襲来に右往左往した日本(時の政府)と重なる部分もある。「自分達には平和憲法があるから、戦争はない」と考えている戦後日本人に対する、右からの教育という見方も出来る。ある日いきなり「戦争」という不条理に放り込まれた人間の目覚めの過程とも見える。これは物語が「平和」を積極的に望んでいるのかいないのか、時に(駄目でもしょうがない)と感じる人達と主人公が戦い続ける。
 
「巨人」は戦争抑止力の「核兵器」にも準(なぞら)えられるかも知れない。しかも、その抑止力をどんどん使う。核に対する核の返礼だ。しかも、闘う兵士は10代から20代の「子供兵士」だ。大人たちは無力な俗物として描かれる。何しろ隠しテーマと受け取れる「合図」がてんこ盛りだ。物語は過去と未来が同時並行で描かれる部分がある。隠された謎を解くには「物語の歴史」を解くしかない。「隠された歴史と陰謀」も基本にあるテーマだ。手間のかかる物語だ。だから熱心なファンがいて、その中の解説者がいる一つのコミュニティが作られている。それを読み解くのを楽しみにしている人たちがいる。ブック版はそろそろ終わりが近そうだが、実写版は期待外れ、でアニメ版が一番見やすい。来年は第4シーズンが始まるとか。
 
このアニメは色々な国で見られている。ユーチューブでは日本語の台詞に色々な言語の字幕が着く。英語、韓国語、アラビア語、分からない言葉(世界中のこんなにたくさんの国に熱狂的なファンがいるのか)と少々空恐ろしくなる。理屈の通らないぐちゃぐちゃな世界が「自分たちの環境と似ている」と感じている人たちが沢山いると思える。
 
今のところでは一番背筋が冷たくなるのは、「壁の中で平和に慣れた日本人が、いきなり他国から武力攻撃される」ような設定で始まるように見える。全体が侵略を受けた後の「長いゲリラ戦記」とも読み取れる。その前に長い歴史がある。案外、投稿の多いアラブ言語の地域では「当たり前の事」かも知れない。とにかく色々なテーマが隠されているように見える作り方だ。一番底にあるのは「民族戦争」らしい。人の命を大切にしない所をこれでもかこれでもかと見せて、最後は「人類が大切」というのか「自分の国が大切」というのかまだ見極めは付かない。
 
世界中のアニメ好きがのめり込むのだから普遍性のあるテーマなんだろうな。また、テーマ自体をカスタマイズするゲームのような物語かも知れない。第三シーズンは何とNHK地上波で放送されていたらしい。ちっとも知らなかった。意識を高揚させる目的か、アンチテーゼか作者は作品以外物言わない。
 
私は「進撃の巨人初心者」だから、とんでもないところを見ているのかも知れない。「面白さ」といったら、まだ粗削りだが「ハリーポッター」や「指輪物語」とどっこいどっこいに見える。「日本人はこんなことを考えている」と外国から思われるのは心外だ。これはこれで無国籍設定がいい。何度も見なおしている。一度では人間関係や設定が良く分からない。今は「睡眠薬」代わりに何度も何度も見なおしている。
 
 
※何回かに分けて書いていますので冗長な部分がございます。
 私にとってはまだ継続中の案件です。「いい作品だ」とも「とんでもない」と固定した評価はまだです。今は読み込みが浅いから(面白ければいい)という感覚です。

そうだったのか

私は考える力が弱いのだろうか、ようやくこの年になって(おかしいな)とか、(ああそうか)と気づくケースが多い。

イランとの緊張関係を受けて、艦船とP3Cが派遣された。石油の輸入にしても普通の物品なら、「原産国」が船に乗せて「購入国」まで送り届ける。それが「お国の輸送船団」を護衛するために兵力がいるという、これ普通に思っていたけれど案外盲点だな、と感じた。経済活動と軍事活動が一緒になるのはもう遠い昔のことだと思っていた。ペリー提督の黒船が来たのは「捕鯨船団」の護衛役として着いていたからだ。「港を開け」、「水、薪を売れ」というのは「補給」だ。何も鎖国中の日本を「鎖国主義はけしからんから、開国せよ」と言ってきた訳ではない。

時はまだアメリカの西部開拓時代が始まるころだ。「空いている土地は早い者勝ち、原住民は殺したのもの勝ち」の世界からペリーは来ている。洗練された日本の政治が叶う訳がない。

アメリカが目覚めたのは「第一次世界大戦」の時だと思える。「国土を戦場にしないとこんなに儲かるものか」と車や武器を売りまくって国は大きくなった。それからずっと「他人の喧嘩に口を出す」、「他国の領土で戦争する」ことが国是となり、アメリカの商売の原点になった。「剣客商売」ならぬ「戦争商売」に目覚める。

以来、アメリカは自国内で戦争をしていない。「世界の警察」などと言いながら、「傭兵」生活を送る。日本の経営はタナボタで弱った各国がぐずぐずしているうちにアメリカが掠め取った。私たち団塊の世代は「牙を抜かれた日本人」の第二期生だ。アメリカのテレビや映画、服装、文化に馴らされ、「実質のない親しみ」を感じさせられている。第一期生は明治政府の構築者たちだろう。

そんな目で見るとイランや北朝鮮は偉いところがある。「自国を守る」という意識が徹底している。守られては困る側から見るとそれは「悪」に見えるだろう。そうかと気が付く。アメリカを疑ってもみなかった。強引な国だなとは思っていたが、「悪いのはみなアメリカだ」と考えると日本の不都合は皆説明がつく。悪いことは西郷隆盛を殺した明治政府から始まっている。と考えるとこれも合点がいく。

ベトナムイラクアフガニスタン、シリアとアメリカが勝てなかった国々は「宗教」や「主義」をきちんと持っていた。幾ら物量を注いでも「民衆の心を折る」ことは出来なかった。 他国に沢山「基地」をつくり国境線はお構いなしに攻撃を仕掛ける。まるで西部劇の世界だ。基地は「アラモの砦」か。アメリ軍が未だに「騎兵隊」という言葉を好んで使うのは、意識がそこに留まっているからだろう。

アメリカのイランの司令官「暗殺」以来、第三次世界大戦の勃発を老婆心ながら心配していた。そうすると何故こうなるのか考える。(変だな)と思うことは沢山ある。私は別にブログを書いているが、政治向きの話は何故かし難い雰囲気がある。自分中で(こいつは外れているな)と思えることはここに書きたい。私は政治的・宗教的な色はないし何処かのパーティを支援する者ではありません。

中国の事も気になることが沢山あります。それはまたその時に。